第50章 真相と
「会いたい人・・・?」
今ここで名前が上がるとすれば。
「・・・もしかして・・・赤井、秀一?」
それを聞いたコナンくんは私を見上げ、静かに口角を上げた。
まさか、本当に・・・?
「急ごう」
そう言って、彼は歩く速度を上げた。
その間にも、私の中では複雑な気持ちが填めいていて。
ーーー
少し先を行くコナンくんの後を追うように、数分歩いて違和感に気付いた。
この道は、覚えしかない。
「ねえ・・・コナンくん・・・」
無意識に足が止まり、息が詰まるように呼吸が上手くできなくなった。
体に震えも走り、立っているのがやっとの状況で。
「・・・違うよね?」
この先を行けば、毛利探偵事務所だ。
もっと言えば・・・。
「如月さんの思ってる通りだよ」
そう告げるその顔に先程までの笑顔は無い。
もしかして・・・。
もしかして会いたい人って・・・。
「・・・透さんに、会いに行くの・・・?」
そう問うと、コナンくんは静かに私に近付いた。
「黙って連れて来てごめんなさい。でも・・・言っておかなきゃいけないことがあるんだ」
その綺麗な瞳に目を奪われた。
彼の真剣なその眼差しが、恐怖を打ち消していくようで。
大の大人が・・・何を怯えているのか。
こんな小さな子が、戦っているのに。
「・・・ごめん」
それは色んな意味を含んでいて。
急ぐ彼の足を止めてしまったこと、いつまでも安定しない気持ちを持ってしまっていること、そして・・・。
「やっぱり私は・・・行けない」
これ以上前に進めないこと。
「実は昨日、彼に・・・」
「忘れろって言われたこと?」
「!!」
どうしてコナンくんが・・・そのことを。
あの周りには誰も居なかったはず・・・。
「・・・じゃあ、それも確かめに行こうよ」
そう言って再び手を取られると、半ば強引にその手を引かれた。