第50章 真相と
「ええ、命を掛けてお守りしますよ」
いつもの表面上の言葉であれば良いのに。
彼にそれを求めておきながら、どこかでそれを拒んだ。
「そういえば、ジョディさんは昨日のこと・・・」
「ええ、勿論知ってるわよ」
自分からその話をするつもりは無かったが、それは昴さんに対しての思いだ。
彼女達は直接的に関わりがあるから。
「昨日、バーボンの仲間に追い回されていたのは私達だから」
「え・・・?」
FBIという予想はしていたが・・・まさかジョディさん達だったなんて。
「まさか後部座席に、シュウが隠れているなんて思わなかったけどね」
そうか、車で追われてたんだ。
確かに、透さんの口から車という単語を耳にした覚えがある。
しかも後部座席に・・・彼もまた、こうなることを予想していたんだろうか。
「その・・・赤井さんは、どこへ?」
彼とは話がしたい。
兄のことは勿論だが、組織のことも・・・透さんのことも。
「・・・ごめんなさい、私の口からは言えないわ」
「どうしてですか・・・!」
思わず食い掛かるように、前のめりで問いかけた。
「彼はまだ生きていることを、バーボン以外の組織の人間に知られていませんからね」
ジョディさんに聞いたのに、それに答えたのは何故か昴さんだった。
そんなの、透さんが組織にリークしていたら・・・と思う反面、彼はそうしないとも思っていて。恐らくそれは昴さんも同じ。
「・・・言えば私が透さんにバラしてしまうと?」
「いえ。そんなことしなくとも、彼なら自力で探し出すでしょうしね」
だったら、なぜ。
「彼にもまた、事情があるんですよ」
いつものように、私の心の声を聞いたのではないかと思う言葉を告げられて。
「特に、貴女と会えない理由がね」
私と会えない理由?
「・・・そもそも、昴さんは赤井さんが生きていたこと、知ってたんですか?」
「ええ、勿論」
当たり前のように返事をされれば、もう怒る気力さえ無くなってくる。
「全ては彼の策ですよ」
そう言って、昴さんはコナンくんの方へと視線を向けて。
「そうですよね、江戸川コナンくん?」
いつもよりもっと不敵な笑みを浮かべながら、そう彼に問いかけた。