第50章 真相と
「僕、先行ってるね・・・!」
着替えようとした私を気遣ってか、パタパタと部屋を後にする彼を見てはどこか不安になって。
透さんの話では、楠田陸道の一件は彼の作戦だという話を思い出し、胸のざわつきが酷くなった。
彼はやはり只者では無い。
昨日二人で話した時も思った。
でも今は、調べる術が無い。
・・・透さんの事務者に入ることもできない。
話を聞けるとすれば阿笠博士か・・・今、彼が住んでいる毛利探偵事務所の毛利探偵と、蘭さん。
阿笠博士は組織について知っていると彼が言っていたが、毛利探偵は透さんとの接し方からして、恐らく無関係。
そう考えながら服を着替え、部屋を出て廊下を進んだ。
コナンくんのことだけなら蘭さんにでも話が聞けるだろうが、話を聞こうにも毛利探偵事務所に行くことは不可能に近い。
彼の事務所の下には・・・ポアロがあるから。
透さんがポアロを辞めることは恐らく無いだろうし。
そして私がポアロに戻ることも・・・。
小さく溜息を吐いては、いつの間にか辿り着いてしまったいつもの部屋のドアノブに手を掛けて。
とりあえず今は・・・昨日は何も無かったようにしよう。
昴さんから何か話してくれるなら別だけど。
そう思って扉を開いた。
「おはようございます」
「・・・おはようございます」
何故かドアの真ん前で待ち構えていたかのように立っている昴さんと、挨拶を交わした。
「コーヒーを飲みながら、話でもしませんか?」
いきなりそう言う彼は、今日もハイネックの服を着ていて。
もう一度アレを確認したい衝動を抑えながら、彼が避けて見えた室内に誰か居ることにその時気が付いた。
「・・・ジョディさんと・・・キャメルさん?」
ソファーに座っていたのはFBIである彼らと、先程私の部屋を出ていったコナンくん。
「ど、どうしてここに・・・?」
やはり昴さんは・・・。
ある予想が出ては彼に視線を向けた。
その先は二つの予想があって。
彼がFBIであるか。
もしくは・・・彼がやはり赤井秀一であるか。