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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第50章 真相と




「目も冷やした方が良さそうですね」

そう言いながら目の前に置かれたトレーの中には、水で濡らされたタオルも置いてあって。

こういう気遣いだけは、できる人なんだよな・・・と冷たいタオルを手に取っては、そっと優しく瞼に当てた。

ひんやりとしたその感覚が気持ちいい。

・・・まるで透さんの手のようで。

そういえば、涙を拭った彼の手は・・・いつものように少しだけ冷たかったような気もする。

今となっては思い出となってしまったそれを思い出して。

「後悔していますか?彼を追い掛けたこと」

突然、昴さんにそんなことを尋ねられて。

それに対して、すぐに返事はできなかった。

当てていたタオルを外して、視線を落として。

暫く考え込んで出した答えは。

「・・・分かりません」

きっと、行っても行かなくても後悔はしていただろうから。

「・・・今の私が後悔していることは、彼と出会ってしまったこと・・・ですかね」

出会わなければ。

こんな思いをすることも無かった。

でも。

「でも・・・出会えて良かった」

まだ、人を愛せることが分かったから。

「・・・そうですか」

優しく微笑む彼は、何を考えているかは全く分からない。

多分これからも、分かることは無いし分かろうとも思わないけど。

タオルをトレーに戻しながらそう思い、湯気を放つ紅茶に引かれるようにその手を伸ばした。

一口含んで胃に流せば、冷えた心も少しは温まるようで。

「眠れそうですか?」

急にそう問われた。

・・・この間、眠れなかった時のことを思い出しては勝手に恥ずかしくなって。

「・・・何が言いたいんですか」
「別に、ただ眠れそうかと聞いただけですよ」

不思議そうに答える彼に、また恥ずかしさが増して。

ペースを乱しているわけではない。きっと私の深読みだった、そう思いながら彼を視線から外した途端。

「・・・っ」

視界が歪んで。

瞼が重い。

意識が・・・遠のく。

「ひなたさん?」

彼の声だけは聞き取れる。

でも、もう視界は真っ暗で・・・意識、も・・・。

「・・・おやすみなさい」

彼の言葉を聞き取ったのを最後に、私の意識は遠くへといってしまった。



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