第49章 緋色の
「赤井・・・?」
再び、透さんが電話の相手に問いかけて。
「お、おい!赤井がそこにいるのか!?おい!!」
冷静さを失っていく彼が・・・彼では無くなっていくような気がしてきて。
背中を向けながら電話をする彼の姿を、ジッと見つめることしかできなくて。
「状況は!?応答しろ!!」
そう叫んだ後、何かに驚いた様子で黙り込んだ。
「・・・上手くいったようですね」
そう小声で話す昴さんの笑みを、私は忘れることはないだろう。
私の中の感情はぐちゃぐちゃに掻き回され、原型を留めていなかった。
透さんが彼では無くなりそうな中、昴さんは赤井秀一だと言われ、透さんを止めたくてもできなくて。
彼の味方でいたいという思いはあるのに、透さんではなく昴さんに味方しているようで。
そして、昴さんが赤井秀一では無いことに、安堵している自分もいて。
彼が赤井秀一だとしたら、傍に居る、といった彼の言葉は・・・嘘になってしまうような気がしたから。
ただ、そう思えば思うほど、私が傍にいて欲しい人が分からなくなってきて。
私が本当に必要としている人は・・・誰なのか。
「まさかお前・・・俺の正体を・・・!?」
先程よりは小声で話しているが、それでも聞こえてくる彼の言葉に引っ掛かりを感じた。
恐らく、彼は今・・・赤井秀一と話している。
彼が生きていることは証明された。
・・・ということは、さっき透さんが言っていた昴さんの仲間とは・・・コナンくんではなく、赤井秀一に向けた・・・FBIのこと?
だとすれば昴さんは・・・。
・・・彼は一体、何者・・・?
こうなればただの探偵では通用しない気がして。
直接尋ねたくても、今は状況がそれを許さない。
彼は相変わらず画面の向こうの工藤氏に意識を向けているようで。