第49章 緋色の
「変装?赤井秀一・・・?一体さっきから何の話です?」
あくまでも彼は最後までしらを切るようで。
ここまで追い詰められれば・・・後は無いのに。
『Mr.ユウサク・クドウ!作品のタイトルは「緋色の捜査官」!』
突然、背後のテレビからそう聞こえて。
目を離せる状況ではないのに、思わずテレビへと視線を向けてしまった。
どうやら、工藤氏がマカデミー賞を受賞したようだ。
テレビでは華やかな様子が伝えられているが、ここの空気は全くの反対と言えた。
「・・・一体何を企んでいる?」
「企むとは・・・?」
透さんの言葉に、逸れていた視線は彼らに戻されて。
徐ろに昴さんがマスクを付け直しながら問いを問いで返した。
「ざっと見た感じだが、玄関に二台、廊下に三台、そしてこの部屋には五台の隠しカメラが設置されているようだ」
部屋をあちこち見回しながら透さんがそう告げた。
もしかして、さっきから感じていた視線とは・・・それのせい?
「この様子を録画して、FBIにでも送る気か?・・・それとも」
改めて昴さんを見据えるその瞳が、恐怖を煽って。
「別の部屋にいる誰かが、この様子を見ているのかな?」
別の部屋、とは。
もしかして、この家に他に誰かが・・・?
真っ先に考えられたのは、赤井秀一の仲間であるFBIで。
それを準備する為に、私は半日近く部屋に閉じ込められていたのか。
「そもそも僕と似ているんですか?顔とか、声とか」
「ふん・・・顔は変装、声は変声機」
透さんはソファーから立ち上がりながら、そう答えて。
変声機・・・その言葉には思い当たる部分しか無かった。
そう考えれば・・・辻褄が・・・合う。
「変声機?」
惚けたように話す透さんに、こちらの方がの方が緊張してきてしまって。
「今日の昼間、この近辺を回ってリサーチしたんです。隣人である阿笠博士の発明品で、評判が良かったのに急に販売を止めた物はないかってね」
阿笠邸に目を向けながら透さんが話を続けた。