第49章 緋色の
「その証拠に、その男は撃たれた刹那に、こう呟いている」
『まさか・・・ここまでとはな・・・』
「・・・ってね」
「まさかここまでとはな・・・ですか。私には、自分の不運を嘆いているようにしか聞こえませんが」
「ええ、当たり前にとらえるとね。だが、これにある言葉を加えると・・・その意味は一変する」
笑みはそのまま、目付きだけはどんどんと鋭さを増していって。
それを見ていると息が止まってしまいそうだった。
「まさかここまで・・・」
ゆっくりと続けられる言葉に、全神経が透さんに向けられて。
「読んでいたとはな」
そう告げた。
「そう、この計画を企てた、ある少年を称賛する言葉だったというわけですよ」
・・・ある少年・・・コナンくん?
コナンくんが、その計画を・・・?
そんな・・・そんな馬鹿な。
だって彼はほんの小学生で・・・。
そう思いつつも頭のどこかでは、彼なら・・・と思っている自分もいて。
「なるほど・・・面白い」
昴さんの雰囲気が一瞬変わったような気がした。
マスクに隠れてきちんとした表情は分からないものの、きっとその下では・・・。
「そこから先は簡単でした。来葉峠の一件後、その少年達の周りに突然現れた不審人物を探すだけ。そしてここへ辿り着いたというわけです」
そういえば、昴さんがいつからここに住んでいるか知らなかった。
今更、彼の言葉で、そう昔からではないことを初めて知って。
「あの少年とこの家の家主の工藤優作が、どういう関係かは、まだ分かっていませんが・・・あなたが、あの少年のお陰でここに住まわせてもらっているのは、確かなようだ」
コナンくんと有希子さんは親戚と言っていたのだから、必然的に工藤氏もコナンくんとは親戚になるんだろうが・・・透さんはまだそれを知らない、ということか。
・・・まあ、それも本当かどうかは怪しくなってきているが。