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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第49章 緋色の




「ある男が、来葉峠で頭を拳銃で撃たれ、その男の車ごと焼かれたんですが・・・かろうじて焼け残った右手から採取された指紋が、生前その男が手に取ったというある少年の携帯電話に付着していた指紋と一致し、死んだ男の身元が証明されました」

淡々と話すその話には、聞き覚えしかなくて。

透さんの言っている男とは恐らく・・・赤井秀一。

ということは、ある少年というのは・・・コナンくんか。

・・・だけど、何故、今、ここで・・・?

「でも、妙なんですよ」
「妙とは?」

背後から流れるマカデミー賞の中継には目もくれず、二人の会話は続けられた。

「その携帯に残っていた指紋ですよ。その男はレフティ・・・左利きなのに、何故か携帯に付着していたのは右手の指紋だった。変だと思いませんか?」

透さんの話に引き込まれるように、向けないようにしていた視線は何故か自然と透さんへと向けられた。

「携帯を取った時、偶然利き手が何かでふさがっていたからなんじゃ・・・」
「もしくは右手で・・・取らざるを得なかったか」

そう言いながら透さんはミルクの入ったピッチャーを右手で取った。

「ほう、それはなぜ?」
「その携帯は、その男が手に取る前に別の男が拾っていて、その拾った男が右利きだったからですよ」

ミルクを紅茶へと注ぎ入れながら、昴さんの問いに透さんが答えて。

「別の男?」
「ええ、実際には三人の男にその携帯を拾わせようとしていたようですけどね」

もしかして、その携帯についていた指紋は、赤井秀一のものでは無い・・・と言いたいのだろうか。

「さて、ここでクエッション」

一口紅茶を飲んだ透さんは、カップを持ったまま話を続けた。

「最初に拾わせようとしたのは、脂性の太った男。次に、首にギプスをつけた痩せた男。そして最後に、ペースメーカーを埋め込まれた老人・・・この三人の中で、指紋が残っていたのは一人だけ」

またしても聞き覚えのある話にゾクッと何かが駆け抜けた。

・・・あの時、この話を聞いていたのは不幸中の幸いなんだろうか。



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