第48章 不可欠
「・・・受けた方が、良いのかな」
彼や沖矢さん・・・昴さんに迷惑がかかることも嫌だ。
ただ、それを受けることによって、彼らや透さんに会うことはもうできなくなってしまう。
昴さんと直接その話はしていないが、耳にはもう入っているんだろうし。
昴さんは・・・私が証人保護プログラムを受けるかどうかは・・・どう思っているんだろう。
「受ける気になったの?」
少し驚いた様子のコナンくんに、彼は受けてほしいことを感じた。
それは極自然で当たり前の考えなんだろうが。
「・・・ごめん、まだ分からないかな」
視線を足元に落としながらそう答えて。
「受けた方が良いことは分かってる。自分の為にも、コナンくん達の為にも」
膝の上に置いていた手をギュッと握って。
「でも・・・後悔が残るうちは、できないと思う」
我儘なのは分かってる。
それでも、やれることだけはやりたいから。
できることがあるかどうかは分からないけど。
「・・・如月さんならそう言うと思ってたよ」
やっぱり困ったような彼の笑顔に、申し訳ない笑顔で応えて。
「僕も、目的を果たすまでは止まれない」
彼の真っ直ぐな瞳は、澄み切った綺麗な目をしていて。
彼の信念や決意の固さが目に見えて分かった。
「・・・如月の質問の答え・・・今は話せないんだけど、如月さんなら多分いつか話す時が来ると思う」
そう言ってベッドから、ひょいっと飛び降りるとこちらを振り返って。
「・・・だから、あんまり無茶とかはやめてね」
改めて彼からの忠告を受けると、少なくともその理由を知るまでは、証人保護プログラムを受けることはできないな、と確信した。
「じゃあ、僕は用事があるから。もう少ししたら昴さんがお昼持ってくると思うよ」
「うん、ありがとう」
手を振りながらドアを開けるコナンくんに、手を振り返しながら笑顔で見送った。
ドアが閉まると同時に、その笑顔は消えてしまったけれど。