第48章 不可欠
「・・・単刀直入に聞くね」
彼もまた、教えてはくれないだろうけど。
「コナンくんが組織を追う本当の理由、教えてくれる?」
そこに笑顔は必要無い。
そういう話でもない。
ただ彼の目を真っ直ぐに見据えながら、真実を語ってくれることを祈って。
「・・・如月さん」
声の雰囲気が一瞬で変わった。
あの時・・・イヤホン越しにジョディさんと話をしていた時のような声色。
自分で変えた空気なのに、それは一瞬で彼の物となった。
「もし、お兄さんが組織の人達に殺されていたとしたら・・・どうする?」
眼鏡の奥の瞳は鋭くなっていて。
透さんへ兄のことを依頼をする際、彼の言いたいことと同じことを言われた気がする。
その質問に心臓を掴まれた思いになりながらも、その答えはあの時と変わっていない。
「・・・どうもしないよ。兄は仕事を全うしただけでしょ?」
私は兄の末路がコナンくんの言った通りだと思っている。
コナンくん達も、透さん同様その答えは知っているのではないかと疑っているけど。
まだ透さんも知らない可能性は残っているが、その可能性は低いだろう。
「・・・そっか」
コナンくんは安心したような微笑みを浮かべると、ゆっくり瞼を閉じた。
「復讐するとか言われたら、どうしようかと思っちゃった」
やっぱり、聞きたいことはそれ、か。
本当は・・・本当にそうなら、復讐とまではいかないが、組織になんらかの制裁は下したい。
そうは思っている。
ただ、それは私一人では無理なことだし、できることでもない。
それに、もし下手をすれば被害はどこまで及ぶか分からない。
事実上、それは不可能なことで。
「・・・言ってたらどうしたの?」
「うーん、何がなんでも証人保護プログラムを受けてもらってたかなぁ」
なるほど、やはり行き着く先はそこなんだ。
一番彼らにも迷惑がかからないやり方がそうだとは分かっているけど・・・。