第48章 不可欠
お昼まではただただ時間が過ぎるのを待って。
何もすることが無い上にできることも無い。
この家には凄い書斎があることは知っていたので、そこから何冊か借りてくれば良かったと後悔しながら天井を見つめた。
この家の家主は、あの有名な工藤優作氏だ。
きっと彼の書いた作品もあそこにあるはず。
そう思えば思うほど、ここに居る理由が分からなくなって。
何故私なんかが・・・と。
そもそも兄のことがコナンくんの耳に入らなければ、ここに来ることも無かったのだろうか。
・・・いや、毛利探偵に頼んでいたとしても彼の耳には入っただろうから・・・毛利探偵に依頼をしようと決めたその瞬間から、ここに来ることは必然だったのだろう。
もし、あのまま毛利探偵にこの依頼を頼んでいたら・・・彼や蘭さんにも被害があったかもしれない。
そう思うと、今この状況はある意味幸運なのかもしれない。
「・・・!」
そんなことに考えを巡らせている最中、突然ドアのノック音が聞こえた。
慌ててベッドに倒していた体を起こし、それに返事をして応えると、ゆっくり開いたドアから顔を覗かせたのはコナンくんだった。
「コナンくん?どうしたの・・・?」
少し不安そうな笑顔の彼に、必要以上な心配を掛けていることを悟った。
・・・と同時に、申し訳なくなって。
「ごめんね、如月さんが心配で」
表情通りの言葉に、やっぱり子どもらしくないな、なんて思った。
「私は大丈夫だよ、こう見えてもちゃんとした大人だから」
自然と出てきた笑顔は、久しぶりに作ったものではなくて。
・・・そっか、笑顔ってこういうものか。
「さっき言ってた話って・・・?」
腰掛けていたベッドの横にコナンくんも腰掛けると、突然彼がそう切り出して。
できればそれは、もう少しコナンくんのことを調べてから話したかったけれど。