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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第48章 不可欠




一瞬何が何だか分からず、瞼は固く閉じられてしまっていたが、ゆっくりそれを開いて彼の表情を確認すると、いつもの笑顔が待っていて。

「勘違いしてはいけないのは、貴女の方ですよ」
「・・・どういう意味ですか」

相変わらずハッキリしない物言いに、苛立ちを表に出しながら聞き返して。

「教えて差し上げましょうか?」

顎を掴まれ、クッと上に向けられて。

近過ぎる距離に、近付いてくる顔。

逃げ場が無いことなんて分かっている。
逃げるつもりも無いが。

「・・・ッ」

キスされる、と反射で分かった時には再び瞼を固く閉じていた。

「・・・ゴホン・・・ッ!」
「!?」

少し離れたところで、わざとらしい咳払いが聞こえてきて。

思わず瞼を開いて、それが聞こえた方へ体を動かしながら目を向けると、そこには気まずそうに立っているコナンくんがいた。

「・・・昴さん・・・できれば僕を呼んでない時にしてくれない?」
「これは配慮が足りなくてすみません」

ちょっと待って。

「沖矢さん・・・コナンくんを呼んでたんですか・・・?」
「ええ、この時間に来るように」

・・・最低。
そう言葉を乗せた睨みを効かせながら、その視線を沖矢さんへ向けた。

嘲笑うように笑みを返してくる彼を見る辺り、それは全く効いていないことを悟って。

「・・・おはよう、如月さん」
「あ、お・・・おはよう。コナンくん・・・」

気まずい挨拶を交わすと、沖矢さんはコナンくんの方へと向かっていって。

何がしたかったのか全く理解できないまま、暫く彼の背中を見つめた後、視界から消すように目を背けた。

理解できないのは今に始まったことではないのだが。

「ひなたさん」

突然沖矢さんに名前を呼ばれ、背けたばかりの視線は再び彼へと戻された。

「少し話があります。いつもの部屋へ」

そう指示されると、小さく返事をして。
その話が決していい物では無いことくらいは、私でも分かった。


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