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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第47章 黒い霧※




「ひなたさん」

返事の無いことを疑問に思ったのか、優しく名前を呼ばれる。

「・・・昴さん」

私の中の覚悟が、そう呼べと言われた気がした。

そこに愛情は無いけれど。
何かの区切りをつけたくて。

「貴方のことは、好きになれません。けど・・・」

透さんのことは、どこかで忘れようとしているのかもしれない。
けれど、きっと忘れることはできない。

彼を組織から離すということも、ほぼ不可能だろうが、やれることはやりきりたい。

兄のことも・・・諦めてはいない。

その上でこの沖矢昴という人間を・・・受け入れようと思った。

それは愛するという意味では無く、体だけの関係というわけでも無く。

曖昧だけれど、何かにつけて明確な関係。

そこにたった一つだけ必要だと思うものがあった。


「信じて・・・いますから」


きっと、今の私にとって彼は特別な存在で、必要な存在だ。

透さんとは違う立場で。

「ええ。命がかかっていますから、ね」

そこまでは求めていないのは変わらないが、きっと彼から受けた喧嘩のようなものは・・・負けたことに近い。

悔しさは勿論あるが、自分の中にあった黒い霧はほんの少しだけ晴れた気がした。

「・・・っあぁ・・・!」

油断していたところに、少し抜かれては突き上げられて。

月明かりに照らされた彼の表情を見れば、何となく悪そうな笑みを浮かべているのが見えて。

「ずっとその名前で呼んで頂けるのですかね」

そのつもりだったけど。

「・・・気分次第です」

突き放すように言えば、クスッと笑われて。

見透かしているのに一々聞いてくるそれは、やっぱり好きにはなれない。
・・・多分、それは沖矢さんだからというのもあると思うが。

「ひなたさん」

ただ呼ばれただけ。

そんな風に名前を呟かれると、何度目かのキスを落とされた。



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