第47章 黒い霧※
「んぅ・・・っんん・・・!!」
馴らされたはずなのに。
僅かだが痛みが走る。
まだ、そこまで挿入もされていないだろうに。
「ふぁ、・・・んん、ぅ・・・ッ」
噛みつかれるようなキスに、入りきっていた全身の力は、余計な部分が抜けていった。
なぜか、彼とのキスは嫌だと思わなくて。
透さんとのキスも大好きだったけれど。
その好きとは・・・少し違う。
「ん、・・・んぅ・・・ッ」
沖矢さんのキスは長く、ゆっくりと味わうように絡ませあって。
そして、毎回愛おしそうに離れていく。
「痛かったら、仰ってください」
そう言い終わるや否や、途中で止められていた挿入を続けられた。
「・・・いっ、あ・・・ッ!!」
言えとは言われたものの、素直に痛いとは言えなくて。
彼の腕に指をくい込ませながら、その僅かな痛みに耐えた。
「・・・その表情、素敵ですよ」
それは褒め言葉になっていない気がする。
そう思いながらも、それ以上彼に見られるのが恥ずかしくて、できる限り彼から顔を背けた。
「照れる姿もまた、可愛いですね」
何をしてもペースを乱される。
いや、元々私のペースなんて物は最初から無いようなものだったけど。
彼の手の平で踊らされているような・・・それ以上に、彼という人間に飲み込まれていくような・・・そんな感覚に陥った。
「・・・っあぁぁ・・・!!」
油断していたわけではないが、一瞬力が抜けた隙を狙って、彼のモノは一気に奥まで詰め込まれた。
まだそこには痛みの方が強くて。
苦しく荒い息が続いた。
「・・・大丈夫ですか?」
大丈夫じゃなくしているのは彼なのに。
そんな反論ばかり出てくる。
彼と体が密着し、腟内が何かでいっぱいなのを感じると、改めて透さん以外の人と繋がってしまったんだと実感した。
・・・寧ろ、これで良かったのかもしれない。
もう何も無かったことには、できないんだから。