第47章 黒い霧※
「・・・ぁ・・・っ」
焦らされるように、指が一本だけゆっくりと蜜口を貫いて腟内に侵入してきて。
ゾクゾクと背筋を駆け抜ける何かに体を震わせながら、透さんとは違う指を受け入れた。
それはさっきも受け入れた物だけど。
「あまり力は入れない方が、感じやすいですよ」
言われて、彼の袖を力強く握っていることに気付いて。
別に感じたい訳ではない。
これは単純な作業であって、行為ではない。
そこに愛情というものは・・・無い。
「・・・っ、やるなら早くしてくれませんか」
強がってそんなことを言ってみるものの、主導権は限りなく彼にあって。
「これは失礼」
そう言って腟内で指を曲げられた先は、偶然かわざとか、特に弱い部分で。
「・・・ッ、あぁ・・・!」
なるべく抑えていたつもりの声は、甘さを足されながら漏れて。
ビクッと跳ねてしまった体が、疼くように小刻みに震えた。
「おかしいですね、綺麗に掻き出したと思ったんですが」
意地悪そうに言いながら、わざと音を立てるようにナカを掻き回した。
言葉では言い返せても、体は言うことなんて聞かなくて。
その最中、なんの前触れもなく自然と指は増やされていった。
「あ、っん・・・ぁ・・・!」
質量が変われば快楽も変わって。
弱いところを攻められつつも、殆どは焦らすような触れ方に、体の疼きはどんどん高まった。
「お、きや・・・さん・・・っ」
無意識に、彼の名前が零れた。
それを聞いた彼はフッと口角を上げて。
「声を我慢すると体に毒ですよ」
耳元でそう囁くように言われた途端、生暖かく柔らかいものが耳の形に沿うように下から上へと動いた。
「ひ、ぁ・・・ッ」
クチュ、と耳元で鳴ったのを感じれば、余計に体は疼きを訴えて。
たまに彼から漏れる吐息が耳にかかり、それが更に私の中の醜い欲望を掻き立てた。