第47章 黒い霧※

「でも、今は･･･傍にいてあげますよ」

あくまでも今だけ。

彼を異性として見ることは無かったのに。
靡くことはないと、思っていたのに。

崩れそうな自分の弱い意思が･･･悔しい。

「ありがとうございます」

稀に見る、ふわっとした笑顔を向けられた後、ゆっくりと顔が近付いてきて。

自然と、ゆっくり瞼を閉じてしまったことに、また罪悪感を感じて。

これじゃまるで･･･自分の意思で彼を受け入れてしまったようだ。

でも、間違っても･･･いなくて。

「ん･･･う、ぁ･･･っ」

舌が絡み合う中、蕾への刺激を受けて。

ここでこういう状況になるのは二度目だな･･･と、思いの外冷静な脳内で薄ら考えた。

あの時は、沖矢さんのフリをしたバーボンだったけど。

「･･･っ、おき、や･･･さっ･･･」

もどかしい快楽が、妙に冷静な脳には毒で。

もうどうせなら、何も考えられなくしてほしい。

･･･数時間前の、透さんのように。

「ひ、ぁ･･･！！」

私の考えを読み取ったように、彼の指が下着越しに秘部を刺激する。
さっきより快楽は強いものの、その手つきは丁寧過ぎて。

まるで、割れ物を取り扱うかのように触れる、その指を求める自分がいることを透さんが知ったら･･･彼はどう思うだろう。

ただの淫乱な女だと思われるのか･･･それとも。

「ん･･･っ！」

部屋着ごと下着を取り払われたと思っていたら、液を溢れさせている蜜口にすかさず指が当てられて。

ビクッと一度体が震えたのを合図に、心拍が上がり、息が荒くなり、そして全身が疼いて。

早く快楽が欲しい。

そう思ってしまう自分が情けなくて。

透さんは好きだ。
それは今でも、そしてこれからも変わることはないと思う。

これはさっき彼の言っていた、試す作業なんだ。

そう言い聞かせていないと、自分が崩れそうだった。