第46章 近づく
「・・・っ!!」
何気なくスマホを触っていると、突然鳴り響く着信音。
画面には安室透の文字。
一瞬で血の気が引くような思いで。
・・・まさか、まだこのスマホに何かあったのだろうか、と。
あれからこれは持ち歩くことは無かったし、透さんが触れる機会も無かったはず。
電源が入ったら分かるようにでもなっていたんだろうか。
とにかく沖矢さんに相談するしかないと、慌ててスマホをベッドに投げ捨ててキッチンへと急いだ。
「・・・沖矢さん・・・っ」
ドアを開けるなり彼の名前を呼んで。
あんな出て行き方をした後なのに。
今頼れるのは彼しかいないんだと思うと、苦しくなると同時に、悔しくもあって。
しかし、ついさっきまでここにいたはずなのに、そこに彼の姿はなかった。
自室だろうか、と思いながら足早にそこへ向かって。
「沖矢さん・・・!」
ドアへ縋るように荒々しいノックを何度かしながら、再び彼の名前を呼んだ。
「どうかされましたか?」
部屋の扉を少し開いて沖矢さんが顔を覗かせる。
少し走ったせいか、落ち着かない息を必死に抑えつけて。
「と・・・透さんから・・・私のスマホに、電話が・・・」
必死な私に反して、彼はいつもと同じように落ち着いた様子で。
確かに焦ったりしても仕方がないことなんだけれども。
「出てませんよね?」
「・・・愚問です」
出ろと言われても、今の状況であれば出ることは難しいのに。
「そのスマホ、今どちらに?」
「わ、私の部屋に・・・怖くて、置いてきてしまいました・・・」
透さんは私を始末し損ねたこと分かっているだろうから、何らかの方法でもう一度それを改めようとしたのか・・・もしくは別の意味で接触を図ってきたのか。
透さんの行動の意図が、前以上に分からなくて。