第45章 盗出す※
「や、ぁ・・・ッ」
全身の力を使って彼の手を剥がそうとするが、力で叶うはずもなく。
その指は蕾を弾くように動かされて。
「・・・っあ・・・ン・・・」
嫌、なはずなのに。
気持ちとは裏腹に声は出てしまって。
ボディソープのせいかヌルヌルと動くその指に、いつもと違う快楽が襲ってきた。
「おきやさ・・・っ」
親指と人差し指で摘むように刺激されたり、膨らみを優しく揉まれたり。とにかくその手つきは柔らかく優しいもので。
「やめ、て・・・沖矢、さん・・・!」
透さんと会うことはもう無いから。
だとすればさっき触れてもらえたのが恐らく最後。
それを沖矢さんで上塗りされることは・・・嫌だった。
「汚れたままでいるつもりですか」
それは恐らく、心のことで。
一々言われなくたって分かってる。
彼を忘れた方が良いことも、そうさせようとしていることも。
私の望みを叶えないままで良いのか、なんて聞いてきたくせに。
「透さんに・・・汚された覚えなんてありません・・・っ」
そう答えた瞬間、一瞬沖矢さんの動きが止まったかと思えば、私を立たせるように体を持ち上げられて。
「壁に、手をついていてください」
何を言っているのか分からなくて。
どうして彼にそんなことを指示されなくてはいけないのか。
一糸まとわぬ私と、少し濡れた服を着たままの彼。傍から見れば異様な光景であることは間違いない。
「いや、です・・・」
「そのままでいられては、僕も困ります」
なんのことかさっぱり分からない。
ただ、一瞬見た彼の表情はふざけているようには見えなくて。
嫌々ながらも、ゆっくりと冷たいその壁に両手をついた。
「・・・っや、ぁあ・・・!!!」
何も言われないまま、腟内に指を入れられて。
突然襲った快楽に、背を逸らすようにして甘い声を浴室内に響かせた。