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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第45章 盗出す※




ゆっくりと丁寧に行われる作業に、どこか胸の中で黒い霧のようなものがかかる気がした。

・・・何か話してほしい。
そう思ってしまうくらいに静かで。

「何があったのか、聞いても構いませんか」

突然口を開いたかと思えば、そう問われて。

きっと彼らの情報として入れておきたいんだろうな、なんて思う私は卑屈だろうか。

「・・・透さんに家に送ってもらう最中、コナンくんから借りていたイヤホンに気付かれそうになって・・・」

手を払ってしまった。

彼のあの表情に、何か誤解をされたんじゃないかと思って・・・逃げ出した。

「・・・逃げた先にベルモットがいました」
「やけに準備が良かったんですね」

・・・確かに、今思えば都合が良い気もする。

もしかして、あそこで降りることもバーボンやベルモットの計算だったのだろうか。

・・・いや、それこそ都合が良過ぎ・・・

「・・・ひぁ・・・っ!」

人が真剣に考えているところに、胸の膨らみにボディタオルが滑らされて。

「沖矢さん・・・ッ!」
「洗っているだけですよ」

という割には手つきが怪しい。
やけに蕾の辺りを狙ってくるその行動に、性格の悪さを感じて。

「・・・っ・・・」

声が出てしまいそうになり、止めるように彼の手を掴んで。
それでも止められることは無かったけれど。

「それで?あの場で何を話したんですか?」
「なに、も・・・っ」

実際、沖矢さんに話せるようなことは・・・。

そんなことより、その怪しい手つきをやめて欲しくて。

「・・・楠田、陸道・・・」

そういえば、と思って漏れた名前を聞いたからか、沖矢さんの動きがピタリと止まった。

少し不思議に思って少しだけ顔を後ろに向け、沖矢さんの表情を確認しようとした。

「楠田について、何か言っていたのですか」

確認するより前にそう問われた。

声色は変わっていない。
けれど、妙な危機感のようなものは感じて。

結局、彼の表情を確認することはやめて、視線を自分の足元へと落とした。



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