第45章 盗出す※
「すみません、冷えますから中に入りましょう」
そう言って、やっと体を話してくれて。
・・・確かに寒い。
さっきまで沖矢さんに包まれていたから気が付かなかった。
「・・・お、沖矢さ・・・!」
当然のように横抱きにされて。
探偵という人達は皆、運ぶ時にそうだと決められているんだろうか。
・・・それとも、彼や透さんが特殊なんだろうか。
相変わらず必要以上のことは何も言わないまま、工藤邸に入って。
迷わず足を進めたのは何故かお風呂場だった。
「あ、あの・・・」
「おや、入らないんですか?」
そうではなくて。
明らかに様子がおかしい。
「ちょ・・・沖矢さん・・・!」
何故か服を着たまま、お風呂場に足を踏み入れて。
湯船には既にお湯が張られていた。
「・・・ッ!!」
椅子に座らされるなり、少し熱めのシャワーを服の上からかけられた。
「きゃ・・・!!」
いつもの彼では無いように見えて。
少しだけ・・・ほんの少しだけ、怒っているようにも見える。
「綺麗にしておかないと、いけないでしょう?」
そう言いながらゆっくりと服を脱がされて。
「や、やめてください・・・!」
「今の貴女に、この汚れは落とせませんよ」
どういう意味。
そう尋ねたかったのに。
彼の目は真剣で。
それ以上、抵抗する気を削がれる程の圧力があった。
「大人しく、しててください」
せめてもの配慮か、沖矢さんは背後に回ってくれて。
それのおかげか、恥ずかしさや背徳感のようなものは少しだけマシに思えた。
「・・・っ・・・」
それでも、多少なりの羞恥心はある。
全ての衣服が取り払われると、ボディタオルを手に取った。
「ひゃ・・・っ」
急に肌に触れられた為、体がピクっと反応して驚きの声が浴室内に響いた。
「少し我慢してください」
・・・我慢していると分かっていてもするんだ。
なんて悪態のようなものをつきながら、彼の行動に耐えた。