第44章 掠めて※
それを瞬時に避けた透さんが、足元に視線を向けて。
思わずそれに連れて私も視線を向けた。
そこには何故か弾丸が埋め込まれていて。
「!!」
私から突き放すように、その弾丸は透さんの足元を狙って何度も撃ち込まれた。
「誰だ・・・ッ!!」
透さんが叫ぶように声を放つが、それとほぼ同時に私と透さんの間を詰めるのを防ぐように、今度は大きな何かが天井から降ってきて。
「・・・ッ!!」
ガシャンッ、と大きな音を立てながら落ちたそれは、土煙で覆われていたが、音から察するに鉄製の何かで。
「逃げるわよ、バーボン!」
どこからかベルモットのそんな声が聞こえたが、お互いの姿は全く確認できなかった。
どうしようかと辺りをキョロキョロ見回していると、どこからともなく小さな足音が聞こえて。
「如月さん、こっち!!」
「コナンくん・・・!?」
物陰から出てきた彼に手を引かれ、建物の外側へと誘導された。最低限の衣服を整え、土煙に巻かれながら彼を追った。
僅かに残っている隙間から屋外へ出ると、大きなコンテナに隠すように止まっている車へと向かって行って。
「・・・っ、沖矢・・・さん・・・」
トランクに何かをしまいこんでいる彼を見て、自然と足が止まった。
「無事だったようですね」
優しい笑顔でそう言われれば、不思議と入り切っていた力が抜けるようだった。
「さあ、急いで乗ってください」
「・・・で、でも・・・っ」
逃げてきた建物に目を向け、彼がまだ中にいるんじゃないかと思って。
「・・・彼なら大丈夫ですよ。簡単に死ぬような男ではありませんから」
・・・どうしてあそこに透さんがいることを知ってるの。
そして、どうしてまた彼をよく知ったような口振りで話すの。
色々疑問は出てきたが、彼の言葉には妙な説得力があって。
今は仕方なく、彼の言葉に従うことにした。