第44章 掠めて※
「・・・い、っああ・・・!!」
手袋をしたまま、腟内に指を入れらて。
いつもとは違う感覚、場所、状況に、頭も体もおかしくなってしまいそうだった。
・・・もうなってしまっている部分もあるんだろうが。
「一本では物足りなさそうですね」
見下すように見つめるその目は、ゾクゾクとした何かを全身に走らせた。
「ひぁ・・・ッ!や、だめ・・・!!」
的確に敏感なところを刺激され、更に声は甘さを増していって。
ビリビリとするような刺激に、飢えていた体が必死にそれを求めていた。
「手袋越しでは満足できないですよね」
そう言いながら挿入されていた指を抜かれて。
手袋を外し、着ていたシャツのボタンをいくつか外せば、自然と首元に付いているソレに目がいった。
「・・・・・・」
彼につけた、キスマーク。
少し薄くはなっているものの、目で見てハッキリと分かるそれは、彼があの時一緒にいた安室透だという現実を突きつけられているようだった。
吸い寄せられるようにその跡へ手を伸ばし、優しく触れて。
「・・・貴女がくれたものですよ」
跡に触れた手を透さんがそっと手に取り、その指へ口付けを落とした。
「貴女に付けたものは、消えてしまっているようですけどね」
・・・そう、消えることのないと思っていたそれは、いつの間にか消えてしまっていた。
それはお互いの気持ちを表しているかのようで。
彼にとって私は、本当に玩具だったんだろうな・・・と。
「・・・最後に、我儘を聞いて頂けませんか」
「ええ、喜んで」
その笑顔が苦しい。
きっと心からの笑顔ではない。
切なくなるだけとは・・・分かっている。
でも、貴方が好きだったという証が、最後に欲しかった。
「もう一度、付けてください」
泣きたくなんてないし、涙なんて見せたくないのに。
それでも溢れてくるそれを必死に抑えながら、強い視線で彼を見つめた。