第43章 二枚舌
『どういうこと?』
『事の発端は、ジョディ先生が澁谷先生から受け取ったメール・・・そこからバーボンとベルモットの策略が始まったってわけさ・・・』
・・・待って、今彼らが話しているのが今回の事件のことだとしたら・・・私もその作戦に組み込まれていたということ・・・?
『あの、お酒を飲もうって約束のメールのこと?』
『うん・・・澁谷先生はそんなメール出した覚えはないって言ってたんだよね?』
『え、ええ・・・』
『だったらそのメールは、バーボンが澁谷先生の携帯から送信したメールだと思うよ』
『ええ・・・!?』
ダメだ、脳が追いついていかない。
とにかく透さんは、彼らに何かしらのアクションをかけていて、ベルモットという人物とグルだった・・・ということだろうか。
お酒の名前から推測するに、そのベルモットという人物は組織の人間。
ふと気になり、気付かれないように、視線だけを彼に向けてその表情を伺った。
街頭の横を通る度に照らし出されるその綺麗な横顔に笑顔は無く、ただ車の行先だけを見据えていて。
それに勝手に不安を覚え、そっと視線を逸らした。
『ジョディ先生のようなFBI捜査官の携帯を奪うのは厳しいって思うけど、ただの小学校の先生の携帯をこっそりくすねるのは簡単だろうし・・・。
バーボンが澁谷先生に探偵として何度か会っていたなら、その機会は十分にあるしね』
だとしたら、澁谷先生からの依頼も偶然だったのか怪しくなってくる。
透さんを疑うわけではないが、思考が必然的にそうさせてくる。
『でも、何でそうまでしてあのメールを?』
『それは・・・ジョディ先生が澁谷先生に電話をかけるように仕向けるためさ。キャメル捜査官に携帯を借りてね』
・・・本当にこの声はコナンくんなんだろうか。
確かに頭の回転が早く、察しの良い子だとは思っていたが、これが本当に彼の推理だとしたら・・・一番敵に回してはいけないのは、彼かもしれない。