第42章 不信感
「考えられるのは、犯人がかなり不器用だったか・・・もしくは赤いペンで赤い何かを隠そうとしたか・・・」
赤い何か・・・。
「それって・・・」
「血痕・・・!?」
やはり、考えの行き着く先はみんな同じようで。
「そうか、ここで犯人が彼女を殴ったとき、まだ採点していない答案用紙に彼女の血が飛び散り、それを誤魔化す為に赤いペンで血をなぞるように採点したから、○が歪だったわけか・・・!」
全てを解説するように、キャメルさんがそう話してくれて。
確かにそう考えれば、歪な○には説明がつく。
「正解。問題はそれをやったのが、あの三人の中の誰かということ」
透さんの言う通り、問題はそこだ。
言ってみればこれは、ここで襲われたという証拠だけ。誰が書いたかは特定できない。
これだけでは決め手に欠ける気がして。
「で?誰なのか分かっているんだろうね?」
「勿論!」
警部さんの問いに自信に溢れた顔で透さんが返事をした。
彼のそういったところは、見習いたい部分でもあって。
「楽勝だよね?コナンくん?」
「え・・・?あ、うん・・・!」
突然話し掛けられ、戸惑いながらもコナンくんは返事をして。
そういえばさっき、犯人をガン見していたと透さんが言っていたっけ。
「花丸だよ。写真に写っている花丸を見てすぐに分かったよ!誰が書いた花丸かってね」
「は、花丸?」
「うん、澁谷先生と犯人が書いた花丸を比べてみてよ」
コナンくんにそう言われ、改めて写真に目を向けた。
だが、すぐに変わった様子は見付けることができなくて。
「・・・あれ?」
数十秒、写真を見てようやく気付いた違和感。
・・・でも、これが何を意味するのかまでは分からなくて。
「何か気付いたの?」
「あ、はい・・・。渦巻きが逆だな・・・って」
澁谷先生のものは時計回りに回っているが、犯人が書いたものは反時計回りになっている。