第42章 不信感
「えっと・・・採点方法がアメリカ方式が混ざっているのが、ちょっと気になってて・・・」
「アメリカ方式?」
・・・あれ、違うんだろうか。
一度気付いた事だが、違っていたらどうしようという不安が大きくなっていって。
「大丈夫ですよ・・・自信を持って話してください」
小声で透さんに言われ、彼に視線を向けた。
その言い方だと、彼も気付いているんだと感じて。
「・・・日本では正解に○をしますが、アメリカでは正解に✔を付けるんです」
「ええ!?」
驚いた様子の警部さんを見て、少なくとも彼らは気付いていなかったことを悟った。
FBIは勿論、コナンくんと透さんは除いて。
「そうですよね?ジョディ捜査官」
私の説明の確認を取るように、透さんがジョディさんに問いかけた。
「ええ・・・でもそれはペケじゃなく、チェックマークの意味よ」
写真には、その採点方法が混在した物があって。
でも、違和感を感じたところを見付けるのは、素人の私にはそれが精一杯だった。
「・・・てことは、まさか下に隠れているのがアメリカ帰りの夏子が採点した答案用紙で、上に見えるのは日本人である犯人が採点した答案用紙だってわけ?」
そうか、澁谷先生はここで襲われたと言っていた。
そしてこの答案用紙を持ち出していたことも聞いた。
全て採点が終わっているなら持ち帰る必要はない。
採点中に襲われ、残っていた採点を犯人がした・・・ってことか。
怪しい三人の話は聞いていないから詳しいことまでは分からないが、そこまでは何となく察することができて。
「ええ。それに、上になっている答案用紙の○はかなり歪で、解答欄からはみ出ていると思いませんか?」
「ああ・・・だが何で・・・?」
確かに言われてみれば、アメリカ方式の採点に比べて日本式で採点されているものの○はかなり歪んでいる。
だけど、警部さんでも見付けることができなかったそんなことを瞬時に見抜くなんて・・・。