第42章 不信感
あれから暫く経った。
怪しい三人からの話は聞き終えた様子で、それぞれが推理する様が伺えた。
そんな中、澁谷先生が持ち出していたという、テストの答案用紙の写真が届いて。
気分も殆ど落ち着いてきたからか、事件の方が気になり、一番近くにいたコナンくんの側へと歩み寄った。
「・・・如月さん?もういいの?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
軽い笑顔で返せば、彼も心配そうな笑顔を返してくれて。
「そういえば・・・ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「・・・?」
改まった様子でコナンくんに言われれば、こちらもどこか身構えてしまう。
彼からの質問は正直嫌な予感しかしない。
「・・・あのさ、この間・・・」
「休んでいなくて大丈夫ですか?」
コナンくんが何かを言いかけた時、透さんが私に気付いたのか近寄ってきて。
「ありがとうございます、もう大丈夫です」
「それは良かった」
そう言うなり、彼は私の手を取り警部さん達の方へと誘導し始めた。
「貴女にも助手として参加してください」
「え・・・!?」
されるがまま連れてこられ、みんなが取り囲んでいた写真の置いてある机の前に立たされた。
「如月さん!気分はどう?辛くないかしら?」
「あ・・・すみません、もう大丈夫です」
とりあえずの笑顔を作り、ジョディさんや警部さん達に頭を下げた。
ここまでくれば返事も一連の作業のようになってしまって。
「澁谷先生が持ち出していた、全て採点済みのテストの答案用紙がこちらです。何か気が付くことはありますか?」
そう言われても・・・。
そもそも私は探偵ではないし、そういうことを見付けるのは透さんの方が得意だと思うが。
一応置かれた写真に視線を向けてみるが、採点済みのテストの答案用紙が数枚写っているだけで。
「・・・算数、ですね」
誰が見ても分かる、そんなことしか分からなくて。
それでも彼に応える為、必死に手掛かりになる何かを探した。