第42章 不信感
「アンタこそ、彼女のことを考えるなら・・・」
「だ、大丈夫です・・・!もう、大丈夫ですから・・・!」
キャメルさんが透さんに掴みかかりそうな勢いで言葉を続けたのに焦り、思わず立ち上がって彼らの間に入った。
・・・どうして透さんはこんなにも他人に喧嘩を売るようなことをするのだろう。
FBIの人達への怒りの向け方は、何処と無く沖矢さんへのものにも似ていて。
「どうかしたのかね?」
向こう側から警部さんが顔を出して。
・・・そうか、私のせいで中断させてしまったんだ。
「すみません、もう終わりましたので。話を続けましょうか」
そう警部さんに伝えてから、透さんは私の肩を掴んで椅子の方へ優しく押し込んだ。
「・・・すぐに解決しますので、もう少し待って頂いても大丈夫ですか?」
「は・・・はい」
真剣な顔でそう言われれば、どこか態度が改まってしまって。
自然と背筋が伸びるような感覚だった。
「まあ、あの少年もいることですから、すぐに解決しますよ」
小声でそう言いながら、笑顔を戻した透さんが横目で向けた視線の先には、コナンくんが居て。
「貴女には僕がついていますから、心配なさらないでください」
それは、私が目眩を引き起こしたあのことへの言葉だろうか。
「・・・はい」
申し訳ない気持ちが溢れる中、言わなくても分かってくれるこの状況がどこか嬉しくて。
ただ、見透かされている恐怖も少なからずある。
複雑なこの気持ちが晴れることはきっと難しいんだろうな、と警部さん達の元に戻った透さんの背中を見つめながら他人事のように思って。
「・・・・・・」
大人に溶け込むコナンくんに視線を移しながら、彼がここに居る理由を考えた。
ジョディさんやキャメルさんが居ることは理解できる。ただ、彼は完全に部外者だ。
高木さんとは知り合いのようだから、私の時のように自分から首を突っ込みに来たか・・・それとも、ジョディさんに連れられて来たか。
どっちにしても、異様な光景なのは変わりない。