第42章 不信感
「多分、階段下の路上に止めていた僕の車は、木に隠れて犯人からは見えなかったのでしょう」
「杯戸公園は出入り自由ですし、夜九時を過ぎると殆ど誰もいません。安室さんの言う通りかと」
透さんの言葉に、高木さんがそう添えて。
「しかし、通報してから我々が到着するまで、なんで現場で待っていなかったんだね?そうしていれば、もっと捜査がスムーズに・・・」
「すみません。車の中に別のクライアントを乗せていましてね。その方が関わり合いたくないと言うもので」
・・・あまり信じられるような内容では無かった。
彼がそんな無責任なことをするようには思えない。
考えられるとすれば、そのクライアントというのは・・・組織の人間。
「じゃあ貴方は、重体の夏子を路上に置き去りにしたって訳!?」
ジョディさんが怒りを含んだ声色で透さんに突っかかった。
そうか・・・出会したことに気を取られて気にしていなかったが、ジョディさんがここにいるということは彼女も事件の関係者ということか。
だとすれば、彼女が澁谷さんを名前で呼んだことにも納得ができた。
恐らく、透さんと同じように直近で彼女と接触していたから、ここに呼ばれた・・・といったところか。
・・・コナンくんの方はまだ分からないけど。
「勿論、救急車が到着するのを確認してから立ち去りましたけど。それが何か?」
「・・・・・・ッ」
火に油を注ぐような声色。
明らかにお互いから嫌悪のオーラが滲み出ていて。
「ま、まあまあ・・・!ジョディ捜査官は澁谷先生と親友だったそうなので・・・」
高木さんにもその雰囲気が伝わったのか、二人を宥めるように割って入った。
ただただ見守ることしかできなかった自分が、情けなく思えた瞬間で。
「成程、ご友人でしたか。だとしたら、FBIに恨みをもった輩の仕業って線も、考えられなくはないですね」
「あのね・・・っ!」
収まることの無さそうなやり取りに、こちらまで焦ってきて。
透さんに声を掛けようとしたその時だった。