第42章 不信感
「本当に、透さんの助手として来ただけだよ。事件のことはついさっき知ったばかりだけど」
あまり納得はしていなさそうな雰囲気だったが、本当のことだから仕方がない。
コナンくんが透さんに視線を動かしたのを見て、私も自然と透さんへと目を向けた。
「なんて言って連れてこられたの」
「・・・さっきも言ったけど、探偵の助手として・・・だよ」
本当は赤井秀一に繋がる最後のピースを拾いに来た。
・・・というのは、今コナンくんに話しても良いか判断ができなくて。
これを伝えることによって、透さんがコナンくんに益々目を付けられても困るから。
「それ、いつ言われたの」
「ほんの二時間くらい前。沖矢さんにも、状況やここへ来ることは伝えてる」
そう伝えると、コナンくんは途端に考え込んでしまって。
話し掛けられそうな雰囲気では無くなり、どうしようかと思いながら、ふとジョディさんの方へ視線を向けた時、隣にいた大柄な男性と目があって。
ゆっくりと立ち上がり、軽く会釈をするが、彼から感じるのは殺気にも似たようなものだった。
「・・・先日はどうも、ジョディさん」
「知り合いですか?」
彼を気にしつつもジョディさんへ話しかけると、大柄な男性は少し驚いた様子で彼女に問いかけた。
「ええ、前に話したでしょ?如月ひなたさん」
「ああ・・・承認保護プログラムの・・・」
どうやらFBIの中で私の情報はリークされているらしい。
私は構わないが、これは透さんにとって不都合ではないのだろうか。
私がFBIに認知されると、組織にとっては都合が悪いようにも思えた。
実際、こうやって承認保護プログラムの話だって出てきている。
もし私がそれに承諾すれば・・・恐らく組織が私を追うことはできなくなってしまう。
そうなっても組織は私を追い掛ける自信があるのか・・・もしくは・・・。
そうなってしまう前に始末する自信がある、か。