第42章 不信感
『2時間後、杯戸小学校に来て頂けますか。詳しいことは会ってからお話します』
杯戸小学校・・・?コナンくんが通っているのは確か帝丹小学校だったはずだから、彼は関係ないということか。
それに今日は土曜日だ。
小学校は休みのはずだけど。
そう色々と不思議に思いながらも、とりあえず沖矢さんに透さんからのメールの内容を伝えた。
「なるほど。では、現地に着いたら連絡をください。移動する場合も、必ずメールでも電話でも構いませんので知らせてください」
「・・・はい」
彼の纏う雰囲気がいつもと違う気がする。
いつもの適当さ加減が無いというか・・・口では言い表せないが、とにかく普段の沖矢さんでは無い気がして。
「・・・あの、透さんが餌に掛かったって・・・この事ですか」
「どうでしょうね」
こういう所はいつもの沖矢さんだ。
私にとっては大事なことなのに。
「・・・帰ってきたら、ちゃんと教えてくださいよ」
「ええ、貴女が僕の言うことをきちんと聞いて頂けたら」
逆光の中、メガネを指で押し上げる姿がどこか不気味に見えて。
背筋にゾクッとした悪寒を感じた。
「・・・では、一時間後にはここを出ますから」
「お気を付けて」
私が送り迎えは不要だと言ったことは何も言わず守ってもらえるようで。
それ以上の会話は無いまま、沖矢さんの部屋を後にしてゲストルームに戻り、準備を始めた。
ーーー
「えっと・・・」
近くまで来たはずだが、それらしい建物が見つからなくて。
一本道を間違えただろうかと来た道を戻ろうとした時だった。
「ひなたさん」
「透さん・・・!」
横道から声を掛けられ視線を向けると、そこには彼が立っていて。
たった二日会わなかっただけなのに。
もっと長い間会っていなかったような感覚で。