第42章 不信感
ーーー
あれから二日経った。
その間、透さんから連絡が来ることもそんな気配も無くて。
透さんの事務所に引越しを決めたからには、自宅に戻って荷物を纏めたかったが、それだけは沖矢さんが許してくれなかった。
何故かと尋ねても、はぐらかすばかりで。
透さんが餌に掛かるまでは、と何度も丸め込まれてしまった。
「・・・!」
そう思っていた矢先、ずっと鳴ることの無かった透さんのスマホから着信音が響いて。
それに気付いた瞬間、慌ててスマホに手を伸ばして画面を開いた。
『本日お時間ありますか。探偵の助手として、着いてきてほしい所があります。最後のピースを拾いに行きませんか』
最後のピース・・・ということは、赤井秀一についてのことか。
いずれにせよ、私に断る理由なんてないけれど。
「・・・・・・」
一応、沖矢さんに相談はしなくてはいけない。
何を言われても行くつもりだし、透さんとのことだから流石にダメだと沖矢さんも言わないだろうけど。
重い腰を上げゲストルームを出ると、沖矢さんがいるであろう部屋に向かいノックをして。
「はい」
扉越しに沖矢さんの返事が聞こえたのを確認してから扉を開き、部屋に足を踏み入れた。
窓越しに壁に体を預けながら立つ彼にゆっくりと歩み寄って。
「透さんから、探偵の助手としてついて来てほしいと連絡がありました」
「いつ、ですか」
「・・・今日です」
確かに突然な話ではある。
「場所の指定は」
「まだ、来られるかどうかと聞かれているので、詳しいことは書いていません」
「ではまず、場所を伺ってください」
いつもの沖矢さんらしくない。
彼にしては少し慎重過ぎるというか。
・・・もしかして、これが沖矢さんの言う餌に掛かった状態なのだろうか。
とりあえず、沖矢さんに言われた通り時間と場所を尋ねるメールを返信して。
程なくして透さんからメールは返ってきた。