第41章 苦い罠※
「赤井秀一については聞かれなかったのですか」
「目新しいことは聞いていません」
私が気になっているのは彼が生きているかどうかだ。
それに対しての回答はあったものの、透さんの意見とは反しているものだったから。
私の中では確証とはならなかった。
「・・・沖矢さんのさっきの行動や盗聴器の意味も・・・教えて頂けませんか」
きっと説明されても理解はできないだろうけど。
「先程も言いましたが、盗聴器を仕掛けたのは彼ではないでしょう」
「・・・組織の人間ってことですか」
「少し違う・・・と言えますかね」
じゃあ一体誰が。
しかも、どうして沖矢さんの車に。
もしかして・・・私がここに住んでいると透さんに完全にバラしたから、沖矢さんに疑いが・・・。
「僕の車にアレを仕掛けたのは、貴女の動向を探る為ですよ。コナンくんに関わることはありませんので、そこは安心して頂けますか」
相変わらず人の考えを読むのが早い。
どうしてそうも気になっていることを瞬時に察することができるのだろう。
「透さんの・・・指示ということですか?」
「でしょうね」
紅茶に口をつけながらそう返事をされて。
沖矢さんがそう断言して、これが透さんの指示だとすると、私がここへ住んでいるということは組織の中ではリークされてないということか・・・。
ただ、仕掛けたのは組織の人間とは少し違うと言われた。
・・・そうなると尚更バーボンの行動の意図も方法も分からない。
「・・・どうしてあんなことしたんですか」
一番気になっていて、一番聞きたくないこと。
それでも私には知っておく義務がある。
「先程言った通りです。彼を誘き出す為の餌ですよ」
「その意味を教えてくださいと言っているんです」
半ば怒りを含んだ言い方で反論して。
「残念ですが、彼がこの餌に引っかかってからお教えさせて頂きます」
結局、蚊帳の外。
肝心なことは教えてくれない。
怒りで歯をグッと食いしばり、沖矢さんを睨みつけた。