第40章 敵味方※
「じゃあ、家まで送って行くわ」
「あ、大丈夫です。コナンくんの知り合いが迎えに来てくれることになっているので」
あの家に住んでいることを知らないってことは、恐らく沖矢さんのことも知らないんだろうと思って。
隠す理由は無いのかもしれないが、何となくそうした方が良い気がした。
ーーー
「色々ありがとうございました」
「こちらこそ、話ができて良かったわ。承認保護プログラムの件、気が変わったらいつでも連絡して」
「・・・はい」
恐らくそれについて連絡することは無いだろうけど。
車で走り去るジョディさんを見送り、地下駐車場の端の方で沖矢さんが来るのを待った。
まだ何処と無く痛む腰を擦りながら。
そういえば、彼女が沖矢さんを知らないということは、沖矢さんはFBIではないということなんだろうか。
だとしたら本当にただの大学院生で、探偵・・・なのか。
何故かここが一番腑に落ちないところで。
「・・・・・・ッ!」
壁に付けていた背中を勢いよく剥がし、辺りを見回す。
今、誰かに見られていた気がする。
自然と呼吸は音を立てないようにゆっくりとしたものになり、無意識のうちにカバンの中へ手を伸ばしていた。
その間も、周りの様子を伺うことは怠らず。
スマホを探り当てると、急いで沖矢さんの番号を打った。本当は透さんに掛けたかったが、用事と言って別れた彼に、こんなことで電話を掛けるのは気が引けたから。
「・・・っ」
震える手で何とか番号を打ち終わり、電話を掛けようとしたその時だった。
「どうしたんです?こんな所で」
「・・・!!」
聞き覚えのある声のする方へ素早く目を向けると、そこには透さんが立っていて。
「と、透さんも・・・どうして・・・」
「僕はどうしても依頼したいという方の依頼を調査していた所です」
・・・違う、透さんじゃない。
今私の目の前にいる彼は・・・。
・・・バーボンだ。