第39章 追求心
「・・・ええ、本当よ」
そういうジョディさんの顔が曇っていくのが嫌でも分かった。
彼女にとって赤井秀一は・・・仲間でもあり、それ以上に大切な人だったんだということが、痛い程伝わった。
「裏切ったということですか?」
「いいえ、違うわ。元々彼女はCIAの任務を優先するとシュウ達に言っていたそうだし、シュウもそうしてくれって頼んだみたいだから」
それでも、赤井秀一を撃ったことに間違いはないんだ、と脳裏で考えて。
この話を聞くと、彼が生きている可能性は自分の中でどんどんと無くなってきていて。
でも、透さんは生きている可能性が高いと言っていた。
・・・何を聞いて、そう思ったのだろう。
「・・・そういうことだったんですね」
どこかにつかえていた何かが、スっと無くなるような思いで。
まだ腑に落ちないことは沢山あるが、これだけ知れれば今のところは十分だ。
「ありがとう・・・ございました」
「いえ。私は起こったことを話したまでよ」
これらの情報を手に入れたことをコナンくんが知れば、また心配するかもしれない。
今のところは会う予定もないけど。
・・・沖矢さんは、多分何とも思わないんだろうなあ。
「ところで、承認保護プログラムを受けないならFBIの護衛をつけたいのだけど・・・」
「・・・すみません、お断りします」
「そう言うと思ったわ」
少し呆れたように笑われれば、こちらも多少は申し訳なく思って。
それでも彼らに守ってもらおうという気は起きなかった。
「私には透さんがいますから」
彼が完全に味方だという証拠はないし、何なら命を狙う張本人かもしれない。
それでも私は・・・彼を信じているから。
「・・・そう」
察してくれている様子のジョディさんに罪悪感を感じながらも、感謝の気持ちも大きくて。
こんなどこまでも身勝手な自分に・・・優しくて。