第39章 追求心
これで透さんが彼にお金を貸しているという話は偽りの可能性が高い事が分かった。
透さんも水無怜奈について調べていたんだろうか。
・・・スパイを追い詰める為に。
「その楠田陸道は・・・生きているんですか?」
一番気になっていたのはそこで。
彼の車からは血痕が見つかっているからその可能性は低いと考えているけど。
「残念だけど、自分の頭を拳銃で撃ち抜いて逃げられたわ」
やっぱり、あの車に残っていた血痕は彼の物だったんだ。
「・・・?」
・・・待って・・・沖矢さん、彼の死体は見つかってないって・・・。
確かにそう聞いた。
「あの、楠田陸道の遺体を見つけたのって・・・」
「シュウよ。楠田が車で逃げるのを追跡途中に」
「そこには他に誰か・・・?」
「えっと・・・コナンくんがいたかしら」
・・・ということは、彼の遺体の行先はその二人しか知らないということで。
コナンくんが楠田陸道のことを隠す辺り、その事も関係している気がして。
「まあ、水無怜奈を組織に奪われたと思っていたら、それはあの二人の作戦で、本当は彼女がCIAっていうのを見抜いた上で組織に戻したみたいだけど」
あの二人ってことは、コナンくんも含まれているということか。
益々、彼のことの方が気になってくる。
「・・・そういえば、水無怜奈のコードネーム・・・キールって言いましたよね?」
「ええ、そうよ」
キール・・・このコードネーム、どこかで聞いたような気がする。
思い当たるとしたら透さんの事務所だろうけど・・・。
「・・・・・・っ!」
思い出した。
赤井秀一の頭を撃ち抜いた組織の人間。
透さんの資料にはそう書いてあったはず。
「キールって・・・赤井さんを撃った人と聞いてますが・・・本当なんですか」
そうだとしたら、彼女が赤井秀一を裏切ったということだろうか。
それとも、元々協力する気なんて微塵も無かったか。