第39章 追求心

「でも、杯戸中央病院と聞いて楠田陸道が出るなんて思わなかったわ。私が言ったのは別のことだったから」

別のこと･･･？

「爆弾騒ぎや、患者が押し寄せてパニックになったこと･･･とかですか？」

楠田陸道以外だと、その辺り。
でも、これが赤井秀一に結び付くとは到底思えなかった。

「･･･そうね、それも関係がないとは言いきれないかしら」

どちらも否定しないということは、上げたこの二つの事件は結び付いているか、若しくは延長線上で起きた事件か。

「･･･水無怜奈」

そういえば、高木さんの口からそのアナウンサーの名前も聞いたな、と思い出して。

そんな騒ぎがあった頃から、彼女はアナウンサーを辞めてしまったみたいで姿は見ていないけれど。

「水無怜奈のことも聞いてるの？」

･･･ことも？
それじゃまるで、彼女もこの件に関わっていると聞こえる。

「･･･あの病院に、いたんですよね？」

質問を質問で返して。
当たり障りのないところから攻めて、情報を引き出そうとした。

FBI相手に何をしているんだろうという感覚はあったが、それでも自分の中の探究心を抑えることができなかった。

「残念だけど、そのはったりには応えられないわね」

･･･バレてた。
でも･･･どこからだろう。

「どうしてはったりだと･･･？」
「まあ、長年の勘ってやつかしら」

FBIを甘く見過ぎていた。
いや、そんなつもりは無かったけれど、どこかでそう感じていたのかもしれない。

「･･･じゃあ、教えてください。楠田陸道や水無怜奈のこと」

少しでも良い。
兄に繋がることや、透さんのことが分かるなら。

「これ以上首を突っ込むと本当に･･･」
「コナンくんは･･･っ、知ってるんですよね･･･」

有無を言わせないように言葉を被せた。

今更何を知ったって危険なのは変わらないんだから。