第39章 追求心
「・・・貴女は今、どうしたいのか聞いても良い?」
突然ジョディさんにそう聞かれて。
沖矢さんにも同じことを聞かれたな、なんて思いながら改めて考えは変わっていないことを確信した。
「私は兄の死の真相について知りたいだけです。・・・そして、できることなら透さんを・・・組織から抜け出させたい」
彼が望んでやっていることなら、私にはどうすることもできないかもしれない。
でも、彼は根っからの悪い人、という風にはどうにも見えなくて。
それも彼の策略なのかもしれないけど。
「そう・・・。でも、二つ目のことは容易で無いことくらい・・・貴女も分かっているわよね?」
「勿論です」
これも、沖矢さんと同じだ。
分かった上での勝手な望み。
叶うか叶わないかではない。
「もう一つ、質問して良いかしら」
その目は真っ直ぐ私だけを捕らえていて。
その言葉に小さく喉を鳴らしながら、見つめ返して無言の返事をした。
「貴女は誰の味方?」
心臓を鷲掴みにされるような感覚。
それは、彼女達から見て私は敵にも味方にも見えるという意味だろうけど。
「・・・私は、いつでも透さんを優先的に考えています」
少し弱々しい声だったかもしれない。
でも、そこに決意だけはあった。
「でも、コナンくんに危険が及ぶような行為はしません。彼にもそう伝えています」
不都合な行動に出ることはあるかもしれないけど。
「そこにFBIは含まれるのかしら」
変わらず真剣な面持ちではあるけど、少し笑みが戻ったような表情に、掴まれていた心臓が離された感覚を覚えた。
「・・・今のところは」
透さんの指示に反するようなことがあれば、彼女らの言葉には耳を貸さないこともあるかもしれない。
それは透さんが、犯罪的なことは私に指示をしないと信じての思いで。
「少しは安心できたわ」
雰囲気に和らぎが戻った彼女に、あまり信用はしないでほしい、と思いつつも、彼女達だって完全に私を信じている訳ではないか、と心の中でため息を吐いた。