第39章 追求心
「ジョディさん・・・?」
どうしたのかと尋ねるように彼女を呼んで。
それで我に返ったようにハッとする彼女を見て、やはりあの客達を見ていたんだと確信して。
「お知り合いですか?」
「いいえ、違うけど・・・。ちょっと前のことを思い出しちゃって」
「前のこと・・・ですか?」
そう話す彼女の表情が曇っていって。
その思い出している過去は辛いものなんだとういうことを悟った。
「シュウのことを知ってるってことは、杯戸中央病院での事件は知っているかしら」
「楠田陸道のことですか・・・?」
私に思い当たることと言えば、それくらいしか無くて。
未だにあの病院で何が起きたのかまだ知らない。
爆弾騒ぎや、患者が押し寄せてパニックになったことは高木さんという刑事から聞いた。
でも楠田陸道については、あの病院で入院していた患者で、その爆弾騒ぎの何日か前に見つかった彼の車には血痕が残っていたことしか知らない。
「どこでその名前を?」
少しだけ、ジョディさんの纏っている空気が変わったような気がした。
やはり彼は・・・何かあるんだ。
「えっと・・・透さんの事務所に写真と名前が・・・」
透さんはその名前をコナンくん達の前で口にしている。
そしてその場に私も居合わせたし、何ならコナンくんに一度問いただしている。
理由はどうあれ、彼が楠田陸道を知っていることは隠さなくても大丈夫だと思って。
「・・・貴女、本当はどこまで組織について知っているの?」
ここで組織の名前を出すということは、楠田陸道はやっぱり組織と繋がりがある・・・ということか。
・・・でも、どうして病院に。
「残念ながら、私はバーボンとウォッカというコードネームくらいしか知りません」
コナンくんも沖矢さんも、どちらに聞いても彼らは教えてくれないから。
透さんから聞くなんてことも、できる訳はないし。