第39章 追求心
「・・・あの男、まだシュウに化けてるのは理由があるのかしら」
少しの時間を置いて、ジョディさんが独り言のようにそう呟いた。
残念ながら、そこまでは私にも分からなくて。そもそも本当にまだ変装して彷徨いているのかすらも知らない。
・・・今更ながら、私は透さんについて知らないことが多過ぎることに気付かされた。
私にとって彼はなくてはならない存在だけど、彼にとって私はどういう存在なんだろう。
考えたって答えは出ないのだけど。
「お待たせしました」
お互い悶々と考えを膨らませている時に、男性店員がコーヒーを運んできてくれて。
優しく向けられた笑顔に、軽いお礼と会釈で返した。
「あの・・・ジョディさんとコナンくんは、どういう関係なんですか・・・?」
話題繋ぎ、というのもあったけど、それは気にはなっていたことで。
普通に考えれば、小学生とFBIが知り合うことなんてまず有り得ない。
「そうね・・・彼、小さいのに頭の回転は早いし、先を読む力も強い。その知恵を借りている関係・・・って答えでも良いかしら」
FBIからも一目置かれる存在なんて・・・やっぱり彼は只者じゃない。
透さんが目を付けるのも分かる。
「何者なんですかね・・・コナンくんって」
「私も気になるわ」
そう言ってお互い小さく笑いあって。
FBIと聞いて少し身構えていた部分があったけれど、ジョディさんはとても話しやすい人で安心した。
「うわっ、スマホの電池ないんだけど・・・ねえ、ちょっと電話貸してくれない?」
そんな時、近くの席からふとそんな会話が耳に入って。
どうやらジョディさんも同じだったようで、二人して自然とその客達へ目を向けた。
「良いけど・・・私、脂性だから携帯ベタついてるけど、我慢してよね」
なんて事無い会話だが、店内が静かだから自然と耳に入ってしまったのだろうか。
そう思いながらコーヒーに口を付けようとした時、その客達に視線を奪われているジョディさんが目に入った。