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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第38章 独占欲




数分間、何も言わずにただお互いの体温を分け合った。

その沈黙を最初に破ったのは透さんで。

「・・・引越し、早めにお願いしますね」

こんな時にも念押しされて。

相当あの家にいるのは透さんにとって都合が悪いようだ。

それが彼の言う嫉妬だけなら、沖矢さんには悪いけどただの幸せで終わるのに。
そうではなく、彼が組織の人間としてそれを要求しているのであれぱ・・・。

・・・やめよう。
今この瞬間だけは、安室透だけを感じていたい。

「分かりました」

どちらにせよ、その思いは私も同じだから。

「・・・コーヒーでも入れましょうか」
「あ・・・手伝います」

透さんから言い出したのに、話題を変えるようにいきなりそう提案して。

炊事場へ向かう透さんを追うように、ベッドの側へ立ち上がろうとした瞬間、腰に違和感を感じて。

「・・・っ!」

激痛、とまでは言わないが、明らかな痛みがそこにはあって。

原因は自分がよく知っている。
けど、透さんにバレたらまた心配を掛けてしまうかもしれない。

そう思って何事も無いように立ち上がろうとした瞬間。

「座っていてください。無理に動くと悪化します」

炊事場へ向かっていた彼がいつの間にか目の前に立っていた。

既に彼はお見通しの様で。
少し悔しさは残りつつも、今は彼の言葉に従うことにした。

恐らく、今すぐ立ち上がることはできないだろうし。

「帰りは僕が送りますから」

・・・そっか、もう住んでいる所はバレたから送ってもらっても良いんだ。

そう改めて気付いた瞬間、どこか心の中にあったモヤが晴れたようで少しスッキリとした。

本当はあの家に帰りたくはないけれど。

言葉を残して炊事場へ向かい直そうとする透さんの背中を見つめていると、突然どこからかバイブ音が響いて。

キョロキョロと辺りを見回した後、机の上に目をやると、そこには私に渡されたものでは無い、透さんのスマホが振動していた。

画面は下を向いており、誰からというのは判断できなかったが、透さんは鳴り響くそのスマホを拾い上げた。



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