第38章 独占欲
「・・・・・・・・・」
寝ぼけているのだろうか・・・。
そう思いながら、ゆっくりと彼の顔の方へと視線を向けると。
「そんなことをされると、また抑えられませんよ」
合うと思っていなかった視線が合ったどころか、そんなことまで言われてしまって。
その表情にはいつもの笑顔があった。
「お、おはようございます・・・」
何事も無かったかのようにする為に起床の挨拶を告げ、彼の胸に顔を埋めた。
きっと今は酷く赤い顔をしているに違いない。
「おはようございます。まさか朝から襲われるとは思いませんでした」
「お・・・っ、襲ってませ・・・っん・・・!」
誤解だと顔を上げた瞬間、否定しかけたその口は彼によって塞がれた。
「ん、ぅ・・・んん・・・ッ」
朝からゾクゾクするような感覚に襲われながら、彼の舌を受け入れて。
私には甘過ぎる生活だ、と脳裏で考えながら彼の服を握った。
「・・・・・・いつから起きてたんですか」
唇を離すとそう彼に尋ねて。
場合によっては、今の羞恥心だけでは足りない可能性も出てくるが。
「ご想像にお任せします」
悪戯な笑顔で言われれば、最初から狸寝入りだったんではないかと疑って。
直感的考えで行動してしまったことを本気で悔いた。
「・・・いじわる」
聞こえないように、彼の腕の中でポツリと呟いた。
それでも幸せだと感じてしまうくらいに、浮かれてしまっている自分もいた。
「ひなたさん程じゃありませんよ」
・・・聞かれていた。
困ることではないけど、どこか罪悪感に似た感情を覚えてしまい、心の隅で彼に謝った。
「さて、起きるには少し早いですが・・・どうされます?」
それは何を意味しているのか、鈍い私でも彼の表情を見れば多少は察しがついて。
彼が欲しい、のは勿論だけど。
「・・・もう少し、このままで」
彼の腕の中が心地良い。
体温や鼓動を直に感じるこの瞬間が。
・・・好きだ。