第37章 好きで※
「ん、んッ!・・・っは・・・、とおるさ・・・ッ!!」
やっと空気を取り込んだ口から漏れるのは、やっぱり彼の名前で。
求めるように呼んでは、体をビクビクと痙攣させた。
「・・・・・・ッ」
私の顔の隣に透さんの顔が埋もれば、彼の吐息が聞こえるようで。
表情は見えないけれど、彼もきっと・・・。
「・・・っん、ぁ・・・!あっ、も・・・ッ!!」
何度目かのそれが近付く。
密着した彼の体に縋るように抱きついて。
「・・・っ、く・・・」
一瞬、透さんの声が聞こえた気がした。
透さんもイきそうなんだ。
彼に私の中で快楽を感じてくれたんだと思えば、それは至高の思いで。
「透、さ・・・っや、あ・・・あぁぁぁ・・・ッ!!」
彼を抱き締める腕の力が無意識に強くなり、甲高い声で部屋中を満たしながら数度目の絶頂を迎えた。
一度小さくピクっと透さんの体が跳ねたように感じれば、彼もまた私のナカで欲望を吐き出してくれたんだと悟って。
暫くの間、お互いから聞こえてくるのは荒れた吐息だけ。
今まで押さえ付けていた疲れがドっと押し寄せてくるように全身が倦怠感に襲われ、彼に抱きつく力をも失い、腕をベッドの上へと落とした。
「・・・大丈夫、ですか」
彼が顔を上げれば、自然と視線は交わって。
少し色気を含んだその表情に心臓が高鳴った。
こんなに透さんで満たされたら、大丈夫なはずがないけれど。
「・・・はい」
言いながら、これは嘘になるんだろうか、なんて思って。
例え嘘でも、これは吐いても良い嘘だろうと自己暗示した。
「っ・・・あ・・・!」
意識が逸れていた一瞬のうちに、膣内から透さんのモノが抜かれた。
敏感になっていた体が勝手に反応し、思わず声が小さく漏れて。
「今日のひなたさん、とても可愛かったですよ」
不敵な笑みを浮かべながら頬をそっと撫でられて。
その手はいつもより少しだけ温かい気がした。