第37章 好きで※
「と、るさ・・・っ」
キスが欲しい、と彼に倒れかけるように顔を近付ければ、クスッと笑われて。
「舌、出してください」
少なからず恥ずかしさはあるものの、口に出すより行動にする方が私はマシなんだな、とその時改めて思って。
言われた通り、少しだけ舌を覗かせると、透さんの笑みが深まったように感じた。
「よくできました」
言うや否や、彼が舌を吸い上げるように食らいついてきて。
いつの間にか頭に回された手と頬を包む手が、逃げることを許さなかった。
逃げるつもりも無かったけれど。
「んぅ、んん・・・っ!」
私が上になっているから。恐らくキスの主導権は私があるはずなのに、いつの間にかそれは彼の手に渡っていて。
息を取り込むこともできないくらいピッタリとくっ付いた唇からは、お互いの唾液が混ざり合う音が、篭った音で響いていた。
「・・・ん、は・・・」
透さんの手の力が緩まったのを感じて唇を離し、頭を上げる。彼と視線が絡み合い、また愛おしさが込み上げて。
「・・・できそうですか?」
それがお仕置きを指していることはすぐに分かった。
お互い、早くも限界なんだと悟り体を起こして。
彼の腹部に手をつくと、透さんがそっと両手を差し出して。それに指を絡ませると、体を支える軸となった。
「・・・ん・・・ッ」
ほんの少しだけ腰を浮かし、降ろす。
快楽が来ることもそのタイミングも全て分かっているのに、体はその準備ができていなくて。
もどかしい。
きっと透さんもそう思っているに違いなくて。
でも、大きく深く動くことは、無意識に体が制限を付けていた。
「ん、・・・ぁ・・・んっ・・・」
透さんに、突いて欲しい。
深く、良いところを抉りながら、強く。
貴方しか感じられないくらい、めちゃくちゃにしてほしい。
そう思いながら、必死に腰を動かし続けた。
「・・・っ、透さ、ん・・・」
もう嫌だ。
これ以上は限界。
自分が大きく動けば良いこと。
でもそれができない。