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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第34章 言の葉




『良い子です』
「子供扱いしないでください・・・っ」

あの時と同じように言われて、思わず言い返してしまった。
彼の顔は見えないが、表情が目に浮かぶようだった。

『それと、きちんと布団はかけて寝るように。貴女は布団を寝ている間に蹴る傾向がありますから』

確かにたまにそういうこともあるけれど・・・そんなこと、どこで知ったのか。彼とは部屋も別なのに。

自分の知られたくない部分を見られていたことに気付いて、顔が赤くなるのが分かった。

「だから子供扱いしな・・・っ、!」

彼に苦し紛れの反論の途中で、透さんがいきなり首筋に手を這わせた。

ゾワゾワとする感覚に思わず言葉が詰まって。

「・・・っ、と・・・」
「静かにしないと、聞かれてしまいますよ」

彼の名前を呼んで行動の意図を尋ねようとした瞬間、耳元でそう囁かれて。

何を、と聞く間も無く、透さんはスマホを近付けている耳とは反対側の耳を、ゆっくりと舐め上げた。

「・・・っや、ぁ・・・!」

思わず小さく声が漏れてしまう。

前にも同じ状況があった。
でも、あの時は沖矢さんに・・・。

・・・やっぱりあの時のこと、透さんは気付いていた・・・?

だからお返しと言わんばかりに、同じ状況で沖矢さんに声を聞かせようとしているのでは・・・。

『ひなたさん?』

沖矢さんが電話越しに名前を呼ぶ。
その瞬間、僅かに透さんがピクっと反応した気がした。

「・・・名前で呼ばれているんですね」

彼の低い声が鼓膜を響かせた。

よく考えたら、あの時・・・沖矢さんのフリをして来たときは名前を呼ばれなかった。

透さんの声がしていた時は聞こえた、けど。

「こ、これは・・・」

勝手に彼がそう呼ぶだけ。
そう反論したかったけど。

良いかと問われて、許可を出したのは私だ。

反論する言葉が見つからず、その先は飲み込むしかなくて。

『ひなたさん、聞いていますか』
「き、聞いています・・・」

透さんの言葉を聞かなかったことにするように、沖矢さんの問いかけへ意識を逸らし返事をした。

お互い、直接顔を合わせている時よりタチが悪い気がする。



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