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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第33章 間違い




「・・・ひなたさんがあの男といる家から出たとき、あの約束を果たさせて頂けませんか」

あの約束。

それは私が無くなってしまったのではないかと心配していた、あれだろうか。

「二人で出掛ける・・・約束ですか?」

間違っていたらどうしよう、なんて思いながら恐る恐る尋ねて。

「ええ。その時にお話したいことがあります」

少し改まったように言われれば、脳がそれを無意識に拒否した。何か、嫌な予感がして。

「・・・はい」

それでもその思いは無理矢理踏みにじって、承諾の言葉を告げる他なかった。

その時が来てほしいようなそうでないような。

結局私の質問で気持ちが晴れることはなく、余計に複雑なものになってしまった。

「・・・それで、貴女の気持ちは聞かせてくれないのですか?」

そんな複雑な気持ちのまま、終わったと思っていたあの話を戻されて。
もう、覚悟を決めるしかないんだと悟った。

どっちみち、私の気持ちは変わらないんだから。

彼がバーボンだろうと、安室透だろうと。

私は彼を。

「・・・好き、です。あの時から・・・ずっと。これからも・・・変わりません」

意志を固めた眼差しで彼を見て、そう告げた。

それを聞いた彼は何故か更に笑みを浮かべて。

「僕は、愛していますよ」

主語を強めた言い方に、何を言いたいのかを察した。
私の言葉が気に入らなかった訳ではないと思うが、欲しい言葉ではなかった、ということか。

その言葉が何なのかは、分かっているけど。

「わ、私も・・・です」

言葉にするには恥ずかしくて。
彼のように、サラリとそんなことを言えるような度胸は持ち合わせていないから。

彼の言葉を繰り返す意味で、言葉を吐いた。

「私も・・・、何ですか?」

いつもの意地悪。
イタズラな笑顔。

「透さんと同じ・・・です」

こうなれば少し意地だった。

彼が意地悪をするのであれば、私も彼の欲しい言葉は告げないという意地。

少しだけ挑むような視線で彼を見れば、彼の目つきも挑戦的なものになって。

「・・・言わせて差し上げましょうか?」

少しだけ後悔をしてしまいそうになるくらい、その言葉は私を揺さぶるのに十分だった。



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