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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第32章 探偵と




ゆっくりと顔を掴んでいた手を離され、軽く頭を撫でられた。
心臓がうるさいくらいに主張を続け、落ち着きをみせる様子はなくて。

「お願いしますね。終わったらメールをください。この先に車をつけます」
「はい・・・」

彼の言葉に小さく頷いて、改めてドアハンドルに手を掛けて外へ出た。

車のウィンドウ越しにアイコンタクトを交わすと、透さんはどこかへと車を走らせた。

「・・・・・・」

作戦用の赤井秀一の写真を手にして、深呼吸を何度かしてから足を進めた。

大丈夫、上手くいく、と何度も言い聞かせて。

「・・・っ」

透さんの言われた通り角を曲がると、少し先に写真で見た女性が立っていて。
その姿は美しく、どこか勇ましくも見えた。

誰かを待っているのか頻りに腕時計で時刻を確認しているようだった。

「・・・・・・」

何も無いように、ただその女性の前を通り過ぎる。
ここで、赤井秀一の写真の出番だった。

それが落ちていたフリをして、その女性へ話しかける。それが作戦の始まりで。

「・・・あの、すみません」

高鳴る心臓を何とか鎮めようと、気持ちを無理矢理押さえつけ、彼女へ話しかけた。

「はい、何か?」

FBIのその女性は、私の呼びかけに気付いて視線を向けてくれて。

日本語は通じると聞いてはいたが、ここまで流暢に話せるとは思っていなかった。

「日本語・・・大丈夫ですか?」
「ええ、多少は」

多少、というより殆ど喋れているに近いけど、と思いながら言葉を続けた。

「あの・・・この写真、ここに落ちていたんですが貴女のですか?」

そこで差し出すのは赤井秀一の写真。

彼女がそれを受け取ると、一瞬でその目付きが変わったように見えて。

「私のじゃないけど・・・どうしてだか知り合いの写真だから、私が交番まで持っていくわ」

純粋に驚いた。
透さんからこの作戦を聞いた時、彼女がこの言葉を使うということを透さんは読んでいたから。

あまりにも彼の言葉通りで、逆に気味が悪い。

「お知り合いなんですか?」
「ええ、ちょっとね」

これも作戦通りの会話。

赤井秀一の写真を見る彼女は、どこか寂しそうで。




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