• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第31章 重なる




「そういえばあれ以来、彼から連絡はありましたか」

沖矢さんが口にする「彼」というと。

「透さん、ですか・・・?」

見知らぬ男に姿を重ねてしまった彼のこと。

あれから透さんとは連絡を取っていない。

それを今一度確認する為に、ポケットにしまっていた彼のスマホを手にして画面をつけた。

「・・・え・・・」

そこには一件のメール。
時刻は恐らく私が眠らされていた時間。

私の反応を見て異変を感じたのか、沖矢さんもスマホの画面を覗き込んだ。

彼も見守る中、恐る恐るメールを開いて。

『次の日曜日、例の件について一緒に行動して頂きたいので、予定を空けておいてください』

書かれていたのは業務的な内容だけ。
例の件と言われて思い当たるのは、赤井秀一のこと。

どうやら不安に思っていた、無かったことにはなっていなかったようで。

でも、そのことについては、沖矢さんにもコナンくんにも話はしていない。

「例の件、とは?」

想像通りの質問。

本当は話した方が良いのかもしれないけど、これは透さんとのことだから。

「・・・言えません」

ここは口を噤むことにした。

彼等には迷惑をかけたり危険に晒したりはしないと誓った上での返答。

沖矢さんは納得がいかないような様子だったけど、何を言われても答える気は無かった。

「・・・貴女は頑固ですからね」

それ以上は聞かない、と諦めたと言いたげな笑みをみせられて。きっと何かの形で探りを入れられるんだろうな、なんて脳裏で考えた。

「その日、彼と会うなら一つ条件があります」

沖矢さんが立ち上がり、それに合わせて視線を動かした。

条件、という言葉に自然と体が身構えて。

「危険だと判断したらすぐに連絡をすること」

それは普段からコナンくんにも言われていることだ。今更言われなくてもそうするつもりだけど。

彼の目はそれだけを訴えるような目付きではなくて。

「約束、できますか」

簡単に頷いてはいけないような言葉だと思った。

まるで透さんがとんでもない危険人物だと言っているようで。
実際そうではあるのだが。

「・・・分かりました」

強い決意を視線に込めて、彼からは目を離さずそう告げた。




/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp