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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第31章 重なる




「・・・・・・っ」

思うように言葉が出ない。
呼吸も乱れてくる。

沖矢さんだと思ったから、あの時受け入れたんだと思い知った瞬間だった。

それは知りたくない事実でもあった。

「質問を変えます、どうやって彼はここへ?」

言葉に詰まる私を見てか、彼は一度尋ね直した。

あの時、沖矢さんは・・・。

「・・・インターホンを鳴らし、鍵を忘れたと言って・・・中へ・・・」

今思えば見知らぬ人物をここへ招いたことになる。

もしそれが組織の人間だったらと思うと胸のざわつきが酷くなったが、そうだとしたら行動の意図が分からない。

「その後は?」
「・・・ここに、入って・・・」

あとは、そのまま。

「・・・襲われ・・・ました」

この上なく震える声でそう答えた。

透さんでも、沖矢さんでもない人物に。
沖矢さんだったら良かった訳でも無いけど。まだその方が幾分もマシで。

「成程、だからその怯えようですか」

冷静過ぎる分析に、彼らしさを感じる。

いつもの、沖矢さん。
彼からは何の違和感も感じない。

そこに何故か安心感を覚えた。

「大体状況は理解できました。今回は貴女を一人にしてしまった僕にも非はあります」

そう言いながら沖矢さんは徐ろにソファーから立ち上がり、私の目の前に片膝をついた。

「申し訳ありません」

ドキッ、と心臓が高鳴った。

それが驚きか動揺か、はたまた別のものだったかは分からなくて。

「・・・私こそ、不用意に動きました・・・すみません」

疑うことはきっとできなかったけど、違和感を感じたあの時点で何かやりようはあったかもしれないのに、行動に起こせなかった自分が情けない。

こういうことに首を突っ込んでいる以上、そういう知識や感覚は身に付けなくてはいけないのに。

彼等には迷惑をかけるばかりだ。

「貴女が謝ることではありません。とにかく・・・無事で良かったです」

珍しく素直に優しい沖矢さんには違和感があったけど、昼間に感じた違和感とは全く違って。

本当に、心配してくれたんだと感じた。

「・・・ありがとう・・・ございます」

今まで感じたことのない気持ちに戸惑いながらも、彼へは素直な感謝の気持ちを口にした。



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