第30章 壊して※
「僕といるのに、彼の名前を呼ぶのですか」
あの時は透さんだと思えば良い、なんて言ってきたくせに。
今日の沖矢さんは、自分だけを見て欲しい、と言っているみたいで。
「・・・いけませんか」
「いいえ」
挑むような笑顔を向けられて。
拒絶反応はあるのに何故か拒絶し切れないことに、疑問と違和感が湧いてくる。
「・・・沖矢さんは・・・私と透さんの仲を裂きたいんですか」
それは一度疑問に思っていたこと。彼等の協力者となった理由なのに、それを壊そうとする彼の行動の意図が分からなくて。
「さあ、そうなんじゃないでしょうか」
彼に尋ねているのに何故か他人事のように言われた。
そこにもまた違和感を感じて。
「そんな話より、僕に集中して頂けますか」
できればそれはお断りしたいお願いであって。
でも力で彼に叶うはずもない。
「い、あ・・・ぁあ・・・っ!」
露わにされていた蕾を舌で舐め上げられて。
不意打ちだったこともあるが、口を塞ぎ損ねていた為、思わず声が漏れてしまった。
「ん、・・・ふ・・・んう・・・」
慌てて塞ぎ直すが、一度出てしまった声は元に戻らなくて。
何度も何度も、助けを呼ぶように頭の中で透さんの名前を叫んだ。
口に含まれては舌で転がされ、もう一方は手で愛撫を続けられて。
段々と理性が保てなくなってくる。最早、拒否したいのかどうなのかすら分からなくなっていて。
「やめ・・・て、おきやさ・・・っ」
無論、彼がそんな言葉に耳を傾けるはずもなく。
彼の肩を掴んで受けたくない快楽に耐えて。
気持ち、良い。
素直に感じればそうなんだろうけど、されているのが沖矢さんというだけでこうも気分が違うものか。
「・・・っ!?」
蕾に刺激をしていた手が再び太ももを撫で上げ、そのまま下着の隙間に指を入れられて。
秘部には敢えて触れないが、触れて欲しいと欲望を掻き立てるようにゆっくりと関係のない所を触られる。