• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第29章 尋ね人




「僕は構いませんけど、貴女は大丈夫そうではありませんね」

全てを沖矢さんのせいにはできない。
あの時、私が透さんにあんなメールを打たなければ、こんなことにはならなかっただろうし。

「彼は何と?」
「・・・私が透さんに、声が聞きたいとメールを送ったんです」

それが元凶だと彼に伝えて。
本当にただそれだけだったのに。

更にあの短い時間で、彼に二回も嘘を吐いてしまった。

もう透さんに合わせる顔がない。

「それと・・・沖矢さんの声には気付い、て・・・・・・」

あれ。

透さん、あの時・・・。

「沖矢、昴・・・」
「はい?」

私の呟きに首を傾げながら、返事をしているのか聞き返しているのか、どっちつかずな反応で私に返事をして。

どっちみち、どちらも反応としては間違いだけど。

「透さんが・・・沖矢さんの声を聞いて呟いたんです。沖矢昴、って・・・」

私は透さんに『沖矢さん』とはバラしてしまったが『沖矢昴』とは一言も言っていない。
つまりは透さんが、彼のことを調べたということで。

「ホォー、なるほど」

面白くなってきたと言わんばかりの笑みを浮かべながら、沖矢さんは手を口元にやった。

一瞬、纏っている空気が違うようなものに感じたが、目に見える変化は無くて。

「・・・ここにいることが・・・透さんに・・・」
「それはとっくに分かっていると思いますよ」

耳を疑った。いつからそう思っていたのかは知らないが、どうしてそれを教えてくれなかったのか。

聞けない疑問ばかり増えていく一方で。

「そろそろ、準備が必要なようですね」

何の、とは聞けない雰囲気で。
どうせ聞いたって教えてはくれないだろうし。

「・・・っ」

頭痛が酷い。

普段頭痛を感じることが無いから、余計に辛くて。

「とりあえず、貴女はその風邪を治すことが先ですね」

痛みに顔が歪むのを見てか、沖矢さんは薬と水の入ったコップを手渡した。それらを口にすると、倒れるようにベッドに転んで。

「また様子を見に来ます。大人しく寝ていてください」
「・・・子ども扱いしないでください」

何故か彼は楽しそうに笑うと、私に布団を掛け直して何も言わずに出て行ってしまった。



/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp